『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #24「ミッドナイト・ラン」
『シネマに酔狂』
バーテンダーが語る映画とお酒 #24「ミッドナイト・ラン」
〜映画を彩る名脇役たち〜
Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。
第24回作品『ミッドナイト・ラン』1988年米国
アメリカ大陸横断の痛快ロードムービーは、
移動各所にて控えめにもお酒が登場しています。
ファーストクラスのシャンパン、セラノの手下が
待機している店、20ドルをだまし取るサルーンBAR、
人物が飲んでいる酒の銘柄は特定できませんが、
バックカウンターには定番に加え、ピーチツリー、
フランジェリコなど80年代らしいラインアップも。
三つ巴の逃走劇、クレジットも止められては
ゆっくり酒を飲んでいる場合ではない模様で。。
ジャック・ウォルシュからのジャックダニエル?
とも思いましたが、名作にまま登場する酒ですので
また別の機会としましょう。
そこで今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。
『シーグラム7クラウン』(ウィスキー)
すっかり文無しとなったまだ逃走中盤の二人。
ここで連行されている側のジョナサンから一案、
バーでFBI捜査官になりすまし20ドルの偽札が
使われたようだとレジ金を改め回収するシーン。
彼のインテリジェンスがここに遺憾無く発揮され、
アウトローのジャックと見事に補完し合って
大きなピンチを一つ一つ切り抜けて行く。
そんな店のバックカウンターには、ハーパー、
ターキー、ジンビームやタンカレー、クエルボetc..
その中からキラッと光った赤い数字の7の文字、
シーグラム7クラウンを紹介します。
7クラウンの発売は禁酒法解禁の翌年1934年秋。
バーボンはケンタッキー州製造由来の為、
アメリカンブレンデッドウイスキーと呼ばれます。
良質の原酒だけをブレンドして作られるウイスキー、
主体はバーボンですが更に飲みやすい口当たり。
商品開発時に用意された十数種類のブレンドの中から
7番目のブレンドが選ばれた事、更にそこに王者の印
である王冠をつけ、7クラウンと名付けられました。
7upで割るとセブンセブンというカクテルに、
割り物との相性もよくカジュアルに飲まれています。
80年代以降、日本にこうした銘柄が次々と輸入され
発売されました。フォアローゼスやメーカーズetc..
関税と為替が落ち着き、酒の世界に花が開いた時代、
7クラウンはそんな時代を思い起こさせてくれます。
かつて本八幡にアンドリュー・ワットというそれは
美しいBARがあり、ボスが市川在住だったので、
閉店後に店のメンバーでよく飲みに出かけた。
その時我々がキープしていたボトルが7クラウン。
ボスはいつでもこのボトルを飲みに来ていいぞ、と。
休日に粧し込んでそのBARに出向いた事を思い出す。
その全てが経験であり勉強でありドラマであった。
『ポルフィディオ・アネホ』(テキーラ)
愛らしいサボテンボトルのテキーラとしてよく知られ、
高級テキーラの代名詞ともいえるポルフィディオ。
今回はこの作品とは全く関係がないのですが、
ロバートデニーロが御愛飲するお酒での銘柄紹介です。
その他アンドレアガシ、ミックジャガーなど多くの
セレブに愛され、数々のコンクールのプライズも持つ、
ブルーアガベを100%使用したプレミアムテキーラです。
先ず目を引くのがサボテン入りのボトル。
ボトルに描かれてるわけではなく、本物のサボテンでもなく、
ボトルの中にサボテンのガラス細工が入っています。
これは職人が1本ずつ手吹きによって作り上げています。
そして名前にアネホとありますが、樽熟成に5年をかけ
ランクとしてはエクストラアネホとなる長熟テキーラ。
その味わいはとろっとしたまろやかな甘さとコク、香り、
スパイシーな風味を楽しむことが出来、本当にテキーラかと
疑ってしまうほど飲みやすく深い味わい。
デニーロの手がけるレストラン事業などでも当然扱われて
いるようです。
実はここまで散々ポルフィディオをテキーラと呼んできましたが、
厳密に言うとテキーラでありません。
長くなるので省略しますが、主にCRT(テキーラ規制委員会)
に登録していないため、法的にはテキーラではなくアガベスピリッツ。
しかし内容は紛れもなくプレミアムテキーラですから。
その他にホワイトテキーラやラムの製品も展開しています。
長期熟成のないジンやウォッカに比べて、ラムやテキーラは
数万円なんてざらという多くのプレミアム品が存在します。
葉巻などにもよく合う酒、そうデニーロ気分で一杯味わって
みてはいかがかな?
テキーラ好きならマストといえばこの店です。
六本木のAGAVEを知らねばエセテキーラ好きでしょう。
テキーラ常時450本〜世界最大級のテキーラバー、
圧巻のストックはテキーラ好きで無くとも一見の価値有り。