『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #3「ウエストサイドストーリー」
『シネマに酔狂』
バーテンダーが語る映画とお酒 #3
〜映画を彩る名脇役たち〜
Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。
第三回『ウエストサイドストーリー』1961年米
今回の作品中に酒を飲むシーンは皆無、ゼロ。
そこでまた違った視点でお酒を紹介します。
『Rum & Coke』『Cuba libre』(カクテル)
ラムをコーラで割ったスタンダードカクテル。
作品にちなんで、バカルディーラム(プエルトリコ産)
とコカコーラ(アメリカの象徴)を使い、はい!
シャーク団プエルトリコ系アメリカ人の出来上がり。
劇中『アメリカ』という曲で、アメリカとプエルトリコの
良し悪しを掛け合いで歌うシーンがありますが、
正にそんな意味合いと風刺にマッチしたカクテルです。
『キューバリバー』(キューバ、自由万歳)としても
有名で、これはスペインからの独立の際にアメリカの
支援に感謝を込めてつけられました。
バカルディーラムは洒落たコウモリ印。
これは識字率の低かった当時のキューバで、幸運、富の
象徴であるコウモリを配し普及させようとしたもの。
要するに『コウモリのあれをくれ』で大ヒット。
キューバ革命によってプエルトリコへと拠点を移します。
他の映画作品では『007私の愛したスパイ』
『ハバナ』『ラムダイアリー』など。
世界中で最も飲まれているラムの銘柄です。
『ズブロッカ』(フレーバーウォッカ)
「桜や蓬のような何か懐かしい香り」
ポーランド産の世界的なウォッカ、ズブロッカです。
作品中の『ジェット団』はポーランド系移民アメリカ人、
彼らのルーツにあたるだけでなく、アメリカは元より、
世界中で飲まれている銘柄です。
作家サマセットモームの御愛飲、故にその当時でも、
広く流通していたという事を物語っています。
独特の香りの由来は、ボトルに入っている一本の草。
ポーランドの世界遺産「ビャウォヴィエジャの森」で採れる
バイソングラスを漬け込んで生まれます。
現地ではアップルジュースで割った「シャルロッカ」が
伝統的なようですが、炭酸やトニック割り、ロックやキンキンに
冷やしたストレートがBARの世界では一般的でしょうか。
他の映画の中では「広くウォッカ」として扱われる事が多く、
特定の銘柄に至らない事が殆どといったところ。
これからの暑くなる季節、
ズブロッカの香りと清涼感はとても合うので是非!
昨日のキネマ倶楽部で、
『ラムコークとキューバリバーって何が違うのですか?』
と伺いました。
これに関してはバーテンダーの世界も含めて様々な事が
言われてきました。
ラムコークは商標のコカコーラのみ、キューバリバーは
ペプシや他社でも良い、キューバリバーはバカルディーゴールドを、
いやキューバだからハバナ産のハバナクラブだ、
ライムが入る入らない、ライムジュースの場合はどうか、
と言った具合に。
まあ、バーテンダーであろうが無かろうが、
ともかくこんな事をグダグタと語る輩なんかとは、
今すぐにでも縁を切ってしまって構いません。
ここは一つ。
『いいから、黙ってこの酒を飲んどけ』