お知らせ,  お酒の話,  キネマ倶楽部,  映画とお酒

『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #43「フレンチ・コネクション」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #43『フレンチ・コネクション

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第43回作品『フレンチ・コネクション1971年米国

マルセイユからニューヨークへ密輸される3200万ドルのヘロインを巡って、
NY市警のジミー・ドイル刑事、通称「ポパイ」(ジーン・ハックマン)と
その相棒ラソー(ロイ・シャイダー)が国際麻薬シンジケートの黒幕を追いつめていく。

作中ではバーでラソーが Cinzanoロッソ、ポパイは銘柄不明のウィスキーやビール。
寒い張り込みの中、豪華なレストランであの黒幕はドランブイをすする。。
そこで、今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『リカール』(パスティス)

映画の冒頭シーン、陰気な灰色の空と南仏マルセイユの港。。。
何やら怪しげな男達の思惑が錯綜し始め、シンジケートの秘密を追っていたと
思しき男が裏通りで殺し屋の手にかかる。
そこで、黒幕の大きな存在とヘロイン密輸計画が明らかにされていく…

港の大通りにある古そうなホテルのテラスがズームアップするシーンで、
その壁にはレーベン・ブロイやリカールの電飾看板が見て取れる。
そこで、マルセイユが舞台であり、南仏の代表的な食前酒であるパスティス、
『リカール』をご紹介。

パスティスは元々、ニガヨモギを加えて作る香草系リキュール、「アブサン」の
代替品として生み出されたお酒。
パスティスの名はSe pastiser(似せる、まがい物の意。パスティーシュ同語源)に由来。

アブサンはニガヨモギの香味成分である「ツジョン」による幻覚など向精神作用の為、
スイスでは1907年に、フランスでは1915年にアブサンの製造・流通・販売が禁止され、
1932年にポール・リカールによりアブサンの製法を改良して「リカール」が作られました。
その後、ペルノー社などアブサン製造元の多くのメーカーでパスティスが販売。

緑色の「アブサン」対しパスティスは琥珀色ですが、同様に水で割ると白濁する特徴。

フランス滞在時に、カフェやレストランのテラスでパスティスが多く見られました。
不思議と現地の気候や風土と合っていて、今パスティスを飲んでも、
その頃のフランスやパリの雰囲気や感覚が脳内に充満してきます。

映画に登場する”マルセイユの悪い奴等”も常飲していたことは間違いなし。

「リカール」はマルセイユ産のスターアニス、リコノス、フェンネルなどのハーブにより
風味付けされ、度数が45度以上、アニスが1ℓあたり2g以上含まれるものには、
「La pastis du Marseille」パスティス・ド・マルセイユと表示される事が認められます。

イギリスの作家ピーター・メイル著のエッセイ『南プロヴァンスの12ヶ月』の中で
紹介されてからパスティスは特に有名になりました。

フレンチ・コネクションカクテル

毎回、映画の作中に登場するお酒、あるいは舞台、役者、時代などあらゆるに関連
づけてお酒を紹介していますが、今回は作品タイトルがそのままカクテル名に。

そこで率直にカクテル『フレンチ・コネクション』をご紹介。

フレンチ・コネクション』『ゴッド・ファーザー』『ブラックレイン』
これらに共通するのは?

それはタイトルがカクテルの名前になっている事。

香り高いコニャックとイタリアを代表するアマレットがグラスの中で見事にマッチ、
ナイトキャップに打ってつけのカクテル『フレンチ・コネクション』
是非、女性お薦めしたいカクテルの一つです。

由来の恐らくはカクテル「ゴッド・ファーザー」から派生したであろうと思われ、
イタリアンマフィアでアマレット、禁酒法時代に裏社会の種であったウィスキー、
裏社会コネクションの共通性と、映画はフランスが舞台である事から、
ウィスキーベースがブランデーベースにアレンジされたと考えます。

実際に起こった事件ではフレンチコネクション解体にイタリアも協力したようで、
フランスとイタリアにちなんだ材料を使用?これは少し深読みが過ぎる…

ベースをウィスキーに変えると「ゴッド・ファーザー」ウォッカに変えると
「ゴッド・マザー」アマレットをコーヒーリキュールに変えると、
「ダーティー・マザー」というカクテルになります。

バーテンダーでも混乱しそうな名前ですが、機会があれば是非ご賞味を!

映画の話に戻りますが、『テキーラ・サンライズ』『シンガポール・スリング』
など、逆にカクテルの名前から映画のタイトルになった作品もあります。。
やはり、映画とお酒は切っても切り離せないもの。。

続編の「フレンチ・コネクション2」は全編完全にフランスが舞台ですが、
フォア・ローゼス、ジャック・ダニエル、バランタイン、シャルトリューズなど、
銘柄がはっきり分かる形で画面に登場しています。
これはポパイが「アメリカ人」であるのを際立たせる為でしょう。

あ、もちろん大量のヘロインも登場し。。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Call Now