お知らせ,  お酒の話,  キネマ倶楽部,  映画とお酒

『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #47「ペーパー・ムーン」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #47『ペーパー・ムーン

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第47回作品『ペーパー・ムーン』1973年米国

1930年代、大恐慌時代のアメリカ中西部が舞台。
子連れのロードムービーという設定もあってか、
煙草は難なく吸いまくるも、お酒や酒場のシーンなどは無し。
酒の密売人に詐欺を仕掛けるシーンでは「スリー・フェザース」
という具体的なウィスキーの銘柄が登場して一杯喰わせるも、
それがきっかけで物語はクライマックスへと向かう。。

そこで、今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『ダーティー・マティーニ』(カクテル)

ダーティー・マティーニ』とはカクテルの王様と呼ばれる、
マティーニの種類の一つで現在も普通にバーで注文出来ます。

なぜダーティー「汚れた」、と言われるているかというと、
マティーニに添えるオリーブの瓶詰めのジュース(液体)自体を、
加えてメイキングするので白っぽく濁った仕上がりとなるから。

ジンベースでアルコールは強いカクテルですが、オリーブの油分や
香りと相まって円やかな口当たりがマニアックな好みとなります。

その辺り、ダーティーだが悪党ではない主人公のモーゼの雰囲気も。

もう一つ、この時代様々な問題を抱えていたアメリカ社会、、
二人のやり取りの中で「じゃあ大統領に手紙でも書いたらいい」
など、政治や政府に期待する少女と全く期待してない大人の構図がある。
「返事がくるかもな」「今頃奴等は高級な寝室で寛いでいる」、、、
その語られる大統領とは「第32代大統領フランクリン・ルーズベルト」

何を隠そう、この『ダーティー・マティーニ』を考案した人物で、
夜な夜な、頻繁にホワイトハウスでカクテルパーティーを開催し、
独自のレシピを考案しお酒を振る舞うのが趣味の一つだったとか。
バーテンダー的な技量は今一つだったとの残念な逸話も残るものの、
この『ダーティー・マティーニ』は後世まで残る事になった。。
1933年の自身が進めた禁酒法廃止の際もきっとこれを飲んだ事だろう。。
この作品の時代や風俗にもマッチするカクテル。

他の作品では「007スペクター」でボンドが注文するシーンがある、
こちらは当然、ベースはウォッカ・マティーニ。

また、東京ディズニー・シーには「テディ・ルーズベルト・ラウンジ」
という名のお酒が飲める豪華なバーがあり、禁酒法の絡みを考えると、
何ともウィットが効いている。

そこで『ダーティー・マティーニ』が注文できるのかは知れず。。

ラフロイグ10年ウィスキー

作中で登場する密売人から盗んだウィスキー「スリー・フェザーズ」

これは当時実在したライトタイプのアメリカンウィスキーで、
東部ペンシルバニア州やニュージャージー州でボトリングされていたよう。
詳しい資料は見つからなかったが、かなり昔に市場から消えたようで、
当然現行品はなくアンティークのボトルやノベルティー商品が、
ebayやオークションで垣間見れるのみ。

  

そこで「スリー・フェザーズ」を違う角度から。。

このシンボルは「プリンス・オブ・ウェールズの羽根」として有名で、
ラグビーウェールズ代表やイギリス陸軍のロイヤル・ウェルシュの連隊、
何より、プリンス・オブ・ウェールズであるチャールズ皇太子自身を表す。

シンボルの起源や歴史はかなり長い話になるので省略しますが、
そのチャールズ皇太子から御用達(ロイヤルワラント)を賜った
ウィスキーが『ラフロイグ』という事で今回チョイスしました。

故にラベルにプリンス・オブ・ウェールズの羽根「スリー・フェザーズ」
をあしらうことが許されています。
もし次に飲む機会があれば、是非良く確かめて頂きたい。

また、当時アメリカに実在した「スリー・フェザーズ」ウィスキーも、
ウェールズ及び英国に何らかの由縁があるだろうと想像が出来る。

ラフロイグ10年』は最も強いピートのフレーバーを持つアイラモルトで、
そのクセがウィスキーの愛飲家の心を惹きつける。

そのフェノリックでピーティなニュアンスは「瓶詰めの煙」「ヨードチンキ」
「海藻」「消毒剤」日本では「正露丸」にすら例えられてきた。
これにも禁酒法時代の逸話があり、作品の時代感に実にマッチする。

アメリカで禁酒法が施行された時代、
ラフロイグ蒸留所は「この液体は酒ではなく薬の臭いだ」と主張して、
合法的にウイスキーを販売を試みたとか。。

カクテルに話を戻すと、映画の子役の名を冠した「シャーリー・テンプル」
「メアリー・ピックフォード」という伝統的なカクテルが存在する。
今だに破らねぬ、史上最年少のアカデミー助演女優賞を獲得した、
テイタム・オニールが演じた大人びた魅力的な少女「アディ」

その「アディ」の名を冠したカクテルがあったらいいじゃない。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Call Now ButtonCall Now