お知らせ,  お酒の話,  キネマ倶楽部,  映画とお酒

『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #50「タクシードライバー」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #50『タクシードライバー

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第50回作品『タクシードライバー』1976年米国

「イカレタ映画に酒は多くは出てこない」
とタランティーノ作品の際に語った様に、
本作も同様の傾向と雰囲気がある。
酒という要素など必要ない程に…なのである。
ベッツィーとのデートに於いても酒は無く、
他のドライバー達が飲んでいるシェーファービール、
トラビスが歩きながら紙袋に包んだスキットルから
飲む酒の銘柄は何だろうか。。
そこで、今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『タクシードライバー』(日本酒

これはその名の通り「タクシードライバー」を紹介。
ジャケットの通り、驚きのインパクトは何と日本酒。

街の洗い流しをやり終え、全弾撃ち尽くしたトラビス、
恐る恐る警察が部屋に踏み込むとニヤニヤと笑いながら、
自分の頭を指鉄砲で「プシュー」とやってるシーン。
その後、天井からの視点でゆっくりとスクロールする、
作品の中でもクライマックスであり印象深い。

岩手県の喜久盛酒造が2005年に発売した純米原酒、
米は岩手県産飯米「かけはし」でどっしりとした風味。
豊潤でありながら、ほどよいキレ味を持っています。

ラベルのデザインはキルビルのポスターなど手がけた、
高橋ヨシキ氏。言われればキルビルなテイストがあり、
やはり冒頭のタランティーノに繋がるか…
店頭で見かける事は殆どありませんが、興味のある方は是非。

異色の銘柄を世に送り出している岩手県の喜久盛酒造。
特殊漫画家としてカルト的な支持を得る、根本敬氏が
命名と題字を手がけた「電気菩薩」がその第一弾。

ところで驚きなのは、ノンライセンス品である事。
2005年より現在でも入手可能であるという事は、
回収や、争議事には至ってないという経緯だろうか。

大変な親日家であるデ・ニーロやスコセッシの、
寛大なる思し召しなのかも知れない。。

『バドワイザー缶』(ビール)

いい映画にはバドワイザー」とまでは言い過ぎだが、
ストレンジャー・ザン・パラダイスの際にご紹介。

そこでは、夜な夜なTVディナーのお供として、
ハンガリー移民のウィリーとブダベストから来たエヴァ、
双方にとってアメリカを象徴する飲料としてだが、
(ジャック・ダニエルも作中でそのような扱いだろう)
そのバドとしての記号は本作でも生きているように思う。。
時に星条旗のように市民生活を色濃く表しつつも…

トラヴィスの日記調の語りから部屋でのシーンが多い。
その中で、昔よく見た伸びるビニールでまとめられた
6缶パックがそのまま壁のフックに掛かっている。
実際にバドワイザーを飲んでいるシーンは無いが、
数本が抜き取られているのでそれを物語る。
また、ベットから天井を仰ぎ見ている天カメの下に、
飲み干したバドの缶が幾つか発見出来る。

不眠症や心理疾患の薬に加えて酒もありという事だが、
やはり冒頭の通り目立って酒が強調される事はない。
社会の不合理や孤独、嫌悪、腐ってゆく花の臭い、
ナチュラルに狂気やバイオレンスを増幅させてゆく。

世界で最も売れているビール、バドワイザー。
追い切れない程に映画に登場していると思いますが、
映画「スモーク」では宣伝協賛で頻繁に登場。
また映画「ユージュアル・サスペクツ」の中では、
釈放された5人が協力した宝石強奪のヤマが成功し、
缶ビールのバドワイザーで乾杯するシーンなど。

最近ではデンゼル・ワシントン主演の「フライト」
これは多くの乗客の命を救った英雄機長の話だが、
フライト前に飲酒していたのが発覚して非難される。
それがバドワイザー等で頻繁に映っている事から、
バドワイザーが抗議し、商品映像をぼかすように
要請したという揉めたケースも…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Call Now