『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #4「コンタクト」
『シネマに酔狂』
バーテンダーが語る映画とお酒 #4
〜映画を彩る名脇役たち〜
Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。
第四回『Contact/コンタクト』1997年米
今回の作品中、お酒のシーンは幾つかありますが、
プエリトリコ産ビール『メダーラ』は日本未入荷、
パーティーシーンのシャンパン(銘柄不明)
部屋に置かれたワインの空き瓶といった程度。
そこで、また違った視点から独断と偏見でお酒を紹介します。
『アードベッグTEN』(シングルモルトウィスキー)
スモーキーさで人気のアイラモルトの中で、
特にスモーキーな存在として知られる
個性的なウィスキー「アードベッグ」
「アードベッグ」はゲール語で「小さい岬」
このアードベッグ、実は宇宙に行ったことがあるのです。
「世界初」となる宇宙での熟成に関する実験の為、
2011年末、アイラ島の蒸留所で作られた原酒より採取した
有機化合物に関しての宇宙実験に参画しました。
実験により大型で複雑な構造を持つ香り成分「テルペン」の
分子メカニズムの解明や、ウィスキーが醸し出す風味に秘められた、
新たな科学成分を発見する糸口になるかもしれません。
(遥か昔既に、ロシア人宇宙飛行士が無断で宇宙に酒を
持ち込んでいると私は踏んでいますが…)
それを記念して近代天文学の父、ガリレオにちなんで名づけられた
限定商品が写真右にある「アードベッグ・ガリレオ」です。
いつか、遥か銀河を宇宙船から眺めながら、
ウィスキーを口に出来る時代が来たら素敵ですね。
ハリウッド映画では主にバーボンの方が登場機会が多く、
シングルモルトウィスキーは稀な中、
アードベッグは他に、キアヌ・リーヴス主演の
「コンスタンティン」の実に印象的なシーンで登場しています。
『宇宙焼酎 ジャミラ』(芋焼酎)
こちらは実際に宇宙を旅して戻ってきた麹、酵母、
使用の芋焼酎「宇宙焼酎 ジャミラ」
エンデバー号の最終フライトに搭載され、
国際宇宙ステーション内の日本の実験棟「きぼう」で
宇宙空間に滞在した後、地球に帰還した麹や酵母です。
宇宙で培養された麹菌・酵母を使用し「黄金千貫」と
「黄金まさり」など、 あっさりとした味わいで飲みやすく、
今回のイベントでも瞬く間に一本空いてしまいました。
これは円谷プロとのコラボ企画商品で、他に「ゼットン」
「バルタン」とシリーズがあります。
棲星怪獣「ジャミラ」はウルトラマンの話の中でも問題作として有名で、
日本のスペースエイジは必ず通過する悲しい物語。
元々は宇宙飛行士の人間だった「ジャミラ」
宇宙へ旅立ったのだが、事故に遭い、水の無い惑星に一人
取り残されてしまった。
救助を待つ間に惑星の環境に体が適応してしまい、
ずっと求めていた水を必要としない
醜い怪獣となってしまった。
母国が国際非難を恐れて事実を隠蔽し、救助を出さなかった為、
見捨てられた事を恨み、自ら宇宙船を修理し、地球に復讐しに
帰ってくる。。。
この麹や酵母も旅をして地球に帰ってきたという繋がりですね。
宇宙開発に伴う犠牲、隠蔽、国家や人類のエゴ、復讐、正義と悪、
昭和のチビッ子は大っきな「?」マークを握りしめました。
<追記>
テクノロジーの進歩によって様々な事が解明されては
きましたが、蒸留されたお酒が木の樽の中で、何年、
何十年という熟成過程で起こる、おそらくは
数百を超える科学変化の全てはまだ解明できていません。
もし、このメカニズムが分かれば、
何十年とかかる熟成が、数日で可能となるのでしょう。
しかしまだ、人類はそこまで来ていません。
ヴェガの存在が映画の中で言っていました。
人類文明の熟成度も、お酒の熟成度も、
『人類よ、気長に』