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『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #46「明日に向って撃て!」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #46『明日に向って撃て!

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第46回作品『明日に向って撃て!』1969年米国

近代化の迫る1890年代アメリカ西部、その後のボリビアが舞台。
作品では、サルーンでのビール(木樽からジョッキに出す)
ボリビアでのワイン、客船でのパーティーシーンのシャンパンなど、
いずれも銘柄は不明で、まだ商品流通が行き届いていない世界観。
ボリビアのビールや地酒、コカのリキュールなどあるものの、
入手困難であり、作品にもマッチしないだろう。。

そこで、今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『オールド・ファッションド』(カクテル)

開拓時代のシンボル、バーボンウィスキーをベースにしたカクテル、
オールド・ファッションド」はいかがでしょう。

オールド・ファッションド・グラスに角砂糖を入れ、アンゴスチュラ・ビターズを
振りかけて滲みこませる。氷を入れ、ウイスキーを注ぎ、オレンジ、マラスキーノチェリーを飾る。
果物に軽く傷がつく程度に混ぜ、マドラーを添える。
レモンやライムなど柑橘もいい、それらを好みの味に調整しながらセルフメイドする、
飲み手の自由度の高いカクテルで、私好みの一つでもあります。

上記のあえて、オールド・ファッションド・グラスと書きましたが、
皆さんが通常「ロック・グラス」と呼んでいるのはあくまでもグラスの俗称であり、
バーの世界、グラスの用途分類での正式名称は「オールド・ファッションド
このカクテルの名前よりその名は由来します。
それだけこのカクテルが、スタンダード中のスタンダードである証でしょう。

ウィンストン・チャーチルの母が作ったという説と、1800年代にケンタッキーダービーが行われる
チャーチルダウンズ競馬場のバーテンダーが作ったという説があります。
また、このお酒を好んで飲んだ人物に、ジェシー・リバモアという投資家がいます。
15歳で相場に初勝ちしてから投資に魂をかけた彼は、一度は自己破産するものの見事負債を完済し、
その後は世界恐慌に冷え込んだ市場を救う立ち回りを見せました。

オールドファッションという言葉には「古き良き」「昔ながらの」だけでなく、
「時代遅れ」「旧式の」とうネガティブな意味も含まれます。
新時代の波が押し寄せる中、遅れて出てきたアウトローのブッチとサンダンス。
そんな二人に投げかけられたこの台詞が耳に残ります。。

『お前たちは長生きし過ぎたんだ。。』

ニューマンズ・オウンワイン

今回は、主演のポール・ニューマンが手掛けたワインをご紹介。

「ハスラー」「スティング」など数多くの映画に出演し、
3度のアカデミー賞を受賞した米国を代表する俳優、ポール・ニューマン。
彼はホームパーティで、友人たちに自ら調理した食事を出すことがライフワークだったといいます。

そこで彼の作ったサラダ・ドレッシングが周囲で大変評判になり、
最初の「ニューマンズ・オウン」商品として1982年に発売されました。
晩年はワインの製造に情熱をささげ、遺作ともいえるこのワインが完成します、
カリフォルニアのプレミアム・ヴィンヤードのブドウを使い、彼自身がブドウの構成を決めました。

ピノ・ノワール種を80%、そこにシラー種18%とプティ・シラー種を2%ブレンド。樽を使って熟成させ、
エレガントなミディアムボディに仕上っています。

かつては、紀伊国屋のような輸入食品が揃う店でポール・ニューマンの顔を見ましたが、
最近ではお目にかかる事もなく、このワインも苦労の末やっと探し出しました。

ニューマンズ・オウン』ブランドはその後も商品を展開し、
スパゲッティー(あるいはパスタ)のソースやポップコーンの販売にも着手、
瞬く間に世界規模での事業拡大に成功。純利益を全額、貧困に喘ぐ子供たちに寄付しました。

ニューマンの提唱した「100%の利益をチャリティへ」というコミットメントの下に、
1982年から2018年6月まで合計で5億3000万ドルを超え、22,000件以上の助成金を生み出しています。

ニューマンズオウンは、ポールニューマンが、亡くなった今でも、社会貢献活動に貢献しています。

勿論、ポールニューマンの人柄や役者人生における彼のキャラクターからもたらされる、
「グッドウイル」があるからこそ。

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