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『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #51「レオン」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #51『レオン

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第51回作品『レオン1994年仏米国

ニューヨークを舞台に、孤独な殺し屋と麻薬密売組織に
家族を殺された少女の交流と復讐の戦いを描く。
作品中では、殺し屋レオンの常飲は異常なまでに牛乳。
マチルダ宅にはウィスキーやミラービールなど、
そして印象的なシーンであるレストランで乾杯する
シャンパンの銘柄は不明。
ニキータでは「テタンジェ」だったが本作は如何に。。
そこで、今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『エズラ・ブルックス』(バーボン


作品冒頭のリュック・ベッソンらしいシーケンスより。

マチルダの父、ジョセフが麻薬密売組織のいわゆる「商品」を
横領したことをスーパーナチュラルに見抜いた、
変態ゲイリー・オールドマン演じるスタンスフィールドと、
その一味がジョセフの部屋に押し掛ける。
この時、ジョセフはガクガクと震えながらデキャンタに入った
ウィスキーをグラスに注ぎ煽り飲んでいる。。
正に死神を待つような気分だったであろう。

終いに開き直ったジョセフと一味は銃撃戦となり、
マチルダの家族は4歳のマイケルも含め皆殺しにされる。
その後、買い物に出掛け運良く難を逃れていたマチルダは、
とっさに隣室のレオンに助けを求め、レオンは彼女を保護する…

スタンスフィールドは一仕事を終え、無事「商品」を探し出し、
一味にその後の指示と、彼独特の長尺の演説を続けている。
その時、不意に棚にあるバーボンのボトルを手にする。
それが今回紹介する『エズラ・ブルックス』です。

恐らくは、ジョセフが最期に口にした酒も同様と想像され、
デキャニングにてキッチンで飲んでいたのだろう。

エズラ・ブルックス』は19世紀初頭にケンタッキー州オーエンズボロに
蒸溜所を設立、メドレー家によって1950年代に誕生したブランドです。
小さいながらも高い評価を得て、1966年にはアメリカ連邦政府によって
小規模蒸溜所として最も優れていると評されました。
実にバーボンらしいバーボンと言った印象の味わいです。

普及品のバーボンである事の自然性、ラベルやボトルの雰囲気など、
ニューヨークのアパートメントに良くマッチしています。

今生の別れの酒となった『エズラ・ブルックス』

それは一体、どんな味がしたのだろうか。。。。

『ナルディーニ・アクアヴィーテ・ビアンカ』(グラッパ)

レオンはレストランの店主のトニーを介した依頼を完璧に遂行する日々。

他のマフィア映画などでもよく見る伝統的なイタリアンレストランで、
古めかしい赤と白のチェックのテーブルクロスの上には、
レオンのミルク、トニーの前には透明な液体のショットグラスが映る。
トニーは険しい顔でその酒を飲みながら次の仕事の話に。。。

その横に全てのシーンで置かれている白いラベルのトールボトル、
トニーの愛飲する『ナルディーニ・アクアヴィーテ・ビアンカ』
ご紹介します。

本人ではなくカメラに向かってラベルが見て取れるので、
宣伝や所以、関係者など含めて露出と関係があるのかも知れません。
(前にも触れましたが、ラベルが本人側に向いてないと不自然の上)

アメリカに流れてきたレオンを拾って一流の殺し屋に育て上げたのは彼、
だが実はスタンスフィールドの配下であり、スタンと敵対する麻薬組織や
マフィアを壊滅させて彼の勢力を拡大させていたという展開へ。。

「グラッパ」とは、イタリアで造られる蒸留酒の一種。
ブランデーと同じくブドウが原料ですが、ワインを造る際に使用される
ブドウの絞りかすから造られるのが特徴で、高いアルコール度数ですが、
これは食前酒。先ずは胃や体にグラッパで刺激を与えて、
イタリア人はその旺盛な食欲を満たしてゆきます。。

イタリア最古のグラッパメーカーと言われる『ナルディーニ
イタリアのバールでは何処でも必ず一本は置いてある程、
今回は作品公開当時の流通品、レオンの中に登場する旧ラベルを
ご用意出来たので、是非一度ご賞味を!

今回、この「キネマに酔狂」をインスタでご紹介したところ、
ナルディーニ』社より御反応頂いたのがとても喜ばしく。

最後に、あぁ本当に『レオン2』が作られなくて良かったな、
と再視聴をして改めて感じた次第にて。。


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