映画とお酒

『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #21「サイコ」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #21「サイコ」

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第21回作品『サイコ』1960年米国

ヒッチコック監督によるサイコスリラー。
ヒッチ作品では美男美女、お酒が効果的に
登場し『裏窓』の回ではモンラッシェと
クルボアジェプルミエをご紹介しました。
が、本作でのお酒のシーンはゼロ。

サイコの独特の世界観とストーリーに、
もはやお酒は不要でしょう。
そこで今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『ゴッドマザー』(カクテル)

映画に限らず怪奇やホラーの物語では、
恐ろしいモンスターや人間から離れた異存在が
様々に登場してきたものですが、
(ハイド氏のような人間でもかなりのマッド感)
そこは、一見普通の青年ノーマン・ベイツ。

その後の多くの作品に影響を与えるこの記念碑的な
モンスターの誕生には、母親という大きなキーワード
があります。

母親とノーマンは長く二人だけの世界で暮らしてきた。
その中で彼の異常性は増幅されていき、
最終的に母親殺しからの二重人格に於いても
完全に母親が支配している。
(TVシリーズのノーマン・ベイツで描かれています)

そんな神のごとき母ということでカクテル、
『ゴッドマザー』をご紹介。
ゴッドファーザーのバリエーションとして生まれ、
ウォッカにアマレットの優しい甘味が生きている。
本来はキリスト教でいう代母、女性の後見人ですが、
カクテルのゴッドファーザーが映画由来であるので、
ゴッドマザーから映画へと掛けても良いでしょう。

映画ではキャリー、13日の金曜日、ワイルドアットハート、
狂信的で恐ろしい母親が意外といるかも。

ラストシーン、ノーマンのにやついた顔のアップに、
一瞬母親の死体の顔が重なる。。。

それを美しいカットだなと思うのは私だけでしょうか。

『 ブリュードッグ ココア・サイコ ・ロシアン・インペリアル・スタウト』(ビール)

鳥の剥製、ルームナンバー1、ナイフ、シャワー、
ミイラ、フェニックス、ソールバスデザイン…etc
スカルなどに逃げては安易過ぎる。。
様々な角度からお酒の銘柄に繋がるフックをイメージ
してみましたが、やはり『Psycho』という名が
入ったお酒はないものかと掘ったら出てきました。

スコットランドのクラフトビールでブリュードッグ
ココア・サイコ ・ロシアン・インペリアル・スタウト。
ラベルの文字フォント、グレートーンも
いいじゃない、何か作品に合う雰囲気だ。

本作はカラー時代にあえての白黒作品、
以前のヒッチ白黒作品に比べてコントラストや黒の深み、
トーンにエッジが効いていてスタイリッシュに感じる。
そんな黒に挑戦的で真っ黒なスタウトビールを。

フルボディのロシアンインペリアルスタウトに、
カカオ、コーヒー豆、バニラ、オークチップを加味、
驚きのビターチョコレートフレーバーのキックバック、
焚火の灰の静かな香り、土のような大きなビター。
アルコール度数10%の重厚なボディーは『Psycho』
という名を掲げるほどマニアックなビールです。

そしてこのビール、見たことない程にド真っ黒。
ギネスや他のスタウトなどの比ではありません。
まさに車がゆっくりと沈んでいくあの沼の黒さです。

そしてもう一つ忘れてはいけません。
あの有名なシャワーシーンで流れた血は、
真っ黒なチョコレートソースだったことを。。。

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