『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #26「戦国自衛隊」
『シネマに酔狂』
バーテンダーが語る映画とお酒 #26「戦国自衛隊」
〜映画を彩る名脇役たち〜
Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。
第26回作品『戦国自衛隊』1979年日本
もしも〜が〜だったらなら……
これは映画に限らずいつの時代も
我々を魅了するテーマの一つなのだろう。
恋愛物だってそう。たった一つの偶然、
出会い、きっかけで物語は変化し進んでいく。
変えようの無い過去、知り得ない未来、
それがどうであっても酒はあったほうがいい。
そこで今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。
『景虎 龍』(日本酒)
他の角川作品にも話は及び、それぞれの思い入れ
がある作品模様がまた楽しく興味深い話で。。
本作は丁度私のリアルタイムとあって、
戦国時代を好きになる一つのきっかけかも。
作品中は饗宴らしい場面もあるが、明確には
お酒が登場するシーンはありません。
そこでタイムスリップした自衛隊と共闘した、
戦国屈指の人気大名、越後の龍にちなんで、
越後の酒、越乃景虎 龍を紹介します。
長岡市の諸橋酒造、本醸造タイプで淡麗辛口が特徴。
その丁寧な造りはコストパフォーマンスに優れ、
地元の晩酌党からも絶大な人気を誇るお酒です。
軍神と恐れられ、信玄にして日本無双之名大将と
言わしめた軍事面のみならず、実直で律儀、
その義理堅い精神性も併せて愛される上杉謙信公。
そんな人物像も作中の伊庭三尉との関係や、
物語のコントラストとなっているかも。
他の戦国大名もそうですが、名称に商標登録など
ないので、お酒も含めて様々な商品があります。
その土地や逸話などにちなんだ物も多く、
旅先などで見かけるとつい買いたくなってしまう。
その謙信公ですが大酒呑みであった様で。。
今で言えばアルコール依存症。
過度の飲酒や塩分の摂り過ぎなどによる高血圧が
原因の併発した病が死因である様で。
それは辞世の句にもよく現れています。
「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」
『川中島』(日本酒)
歴史好きの間では本能寺の信長は勿論、
謙信公や信玄公がもう少し長く生きていたら、
というもしも〜が〜だったなら、もよく出る話。
川中島では幾度となく決戦し決着せずの両勇、
本作では自衛隊の近代兵器によって決してしまい
ますが、さすがは信玄公の戦略により自衛隊は
ほぼ全ての兵器を失い壊滅に至ります。
信玄殿の戦略、感服致したと語る伊庭三尉。
そこで長野の純米にごり酒、川中島をご紹介。
長野県産の美山錦という酒米を65%まで磨き、
懐かしいどぶろくの旨味を感じさせながらも
洗練された純米らしい味の幅があって、
地元でも大きな支持を得ているお酒です。
戦国時代は今で言う清酒の様な日本酒は貴重で、
畿内周辺など限られた地域でしか飲まれず、
一般的に酒といえば濾過や精製などがされない
濁ったどぶろくが主流だった様です。
そんな時代に思いを馳せて飲んでみると、
また一味違って感じるかも。。
戦国を語る上で大きなキーワードとなる川中島。
角川は後に「天と地と」で再度取り上げますが、
日本映画の多くの作品で表現されています。
川中島という言葉を最初に知ったのは運動会、
要するに騎馬戦の事ですがあれは酷かった。
私は幼少から常に体が大きかったので、
いつも下支えに下支えに。。