映画とお酒

『シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #20「ファーゴ」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #20「ファーゴ」

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第20回作品『ファーゴ』1996年米国

変態コーエン兄弟制作、ノースダコタ州ファーゴと
その周辺を舞台に、狂言誘拐をめぐる人間模様を
描いているのかどうかのサスペンス、否コメディ。

冒頭の待ち合わせ場所のビール、クラブでの
ヘンな顔と女が飲むシャンパン(いずれも銘柄不明)
懐妊中のマージが飲むダイエットコークくらい。
ただ、アメリカの片田舎らしく、サインボードや
ネオン、看板などにお酒の銘柄が見られます。

そこで今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します。

『ミラー・ジュニイン・ドラフト』(ビール)

毎回作品を紹介する中で共通して感じる事ですが、
「イカれている映画にはあまり酒が出てこない」

物語やキャラクターが突き抜けている設定に、
「酒」の持つイメージや記号をむしろ排除する。
逆に映画に明確なお酒のシーンがあるという事は、
必ず何か狙いや意図があると言ってようでしょう。

話は戻って「ファーゴ」へ。
今回はアメリカのどんな辺鄙なローカルでも多分飲める
だろうビール「ミラー・ジュニイン・ドラフト」を。
作品中にも道路の大看板、ミラーライトのサインなど
片田舎らしい形で画面に登場しています。
(ミラー・ライトは終売か既に日本では入手不可)
最近はアメリカでもクラフトビールが人気ですが、
乾燥地でも寒冷地でも、裕福でも貧乏でも、
ゴクゴクと水みたいなライトビールをひたすら飲む。
それこそが今も昔もアメリカ、アメリカ人。
そんな雰囲気と映画にこのお酒はよくマッチします。

次作の「ビック・リボウスキ」においては、
主役ジェフリーの「ホワイトルシアン」が有名ですが、
ミラービールのラインが前面に押し出されています。
これはファーゴの成功によってプロダクトされたもの
でしょう。(ラベルを画面に向けて飲んでたりする)
このミラービールはドラフトの名の通り非熱処理の
瓶タイプ生ビール、フルーティーでスッキリとした
味わいが特徴です。

きっとアメリカのビールはアメリカで飲むのがいい。
十代の時、ロスで飲んだアメリカのビール、
ホリデイインに併設の簡単なミニバーだったが、
まるで映画の中にいるような気分だった。。。

『ディーゼル』(カクテル)

作品中主人公のマージが旧友と再会するレストランで
注文する妊娠中を示唆する「ダイエットコーク」
これを組み込んだ何かお酒をという事で、
スタウトとコーラの「ディーゼル」をご紹介。

この手のお酒は「シャンディーガフ」が有名で、
(ビールとジンジャーエール)酒と自分に自信のない
僕と防壁の強すぎるお嬢ちゃんの定番ドリンクです。

「ディーゼル」はアメリカなどではアペリティフや
食事中のライトな飲み物として一般的のようで、
要するにジャンクフードやピザにピッタリって事。
黒ビールにコーラ、石油のディーゼルのように
真っ黒いことからこの名がついたようです。
今回はコカコーラゼロとギネススタウトを使用しました。
(ちなみにダイエットコークですが、コカコーラゼロなどの
登場によって中途半端になったのか、現在少なくとも
日本では販売されていません。どころかマニア間では
高値で取引されているようです)

そしてもう一点作品と関連付けて、、
遺体を処理する木材粉砕機のシーンが印象的で、
映画で実際に使われた機械がファーゴのビジター
センターに展示されています。そして、
このサイズの木材粉砕機の発動機はディーゼルが
多いようで。。。

最後にそんなブラックを掛け合わせてみました、
おっと、酒の色も真っ黒でしたね。。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Call Now