映画とお酒

シネマに酔狂』バーテンダーが語る映画とお酒 #31「E.T.」

『シネマに酔狂』

バーテンダーが語る映画とお酒 #31「E.T.」

〜映画を彩る名脇役たち〜

Bambooキネマ倶楽部の作品に合わせてご紹介した、
映画とお酒にまつわるコラムです。

第31回作品『E.T.』1982年米国

ある年齢までに観なくてはいけない映画があるかも
しれない「映画の賞味期限」とでも言おうか。。

E.T.を初めて観た頃の私と言えば(既に成人)
物事や世界を素直に受け取れる年齢をとうに
過ぎてしまっていたのだろう。。
勿論、リアルタイムの頃はE.T.の話題で持ちきりで、
そこで感動を得た人々はその感動を生涯持ち得るが
ある年齢を超えた時点からは一切得ることが出来ない。
改めてそんな事を思った次第にて。
お酒といえばE.T.がビールで酔っ払うシーンが有名、
そこで今回も私の独断と偏見でお酒を紹介します

『クアーズ・ビール』(ビール)

エリオットの家に1人残ったE.T.は腹が減ったのか、
冷蔵庫を開けて食べ物を探す。始めに手に取った
ポテトサラダは気に入らないようで、ひとなめして
床に投げ捨ててしまう。
続いて手に取った缶ビールは気に入ったようで、
ゴクゴクと飲み干している謎の宇宙人。。
青いシャツを羽織り、まるで休日の寝起きのオヤジ
みたいに滑稽で、ここで手にする缶ビールがクアーズ。

日本でも馴染深いアメリカを代表するビール、クアーズ。
1959年にはアメリカではじめて完全アルミ缶のビール
販売を開始し1992年には北米三位のシェアに。
ラベルにはロッキー山脈が描かれ、作品の森林豊かな
情景にも良くマッチするデザインです。

E.T.とシンクロしたエリオット、E.T.がとても喉越しの良い
クアーズで酔っ払うと、同じように酔っ払ってしまう。
この後、解剖用のカエルを逃がすという大騒動を引き起こし、
クラスで一番の可愛い少女にキスをするという大活躍を見せる。

時には酒の力を借りることも必要かもしれない。

残念なことに日本市場では撤退しており(ライト含め)
現在の販売主力はジーマとブルームーンのみと。
あの頃、プールバーやフロアでバドやクアーズを片手に、
異国への憧れを抱いていたあのビールの味たら。

『ブルームーン』(カクテル)

娯楽作品とあってクアーズ以外ではお酒の登場はなく、
登場しないお父さんのコロンのシーブリーズ、枯れては
咲く向日葵、M&Mチョコレート、メキシコetc….
イメージからの紐付きであれこれと想像しまして、
やはりあの有名な自転車で空中を滑空するシーンから、
バックに輝く青い月、ブルームーンをご紹介。

最近では同じ月の間に満月の日が2回訪れることや、
希少であること、極めて稀なことの意味でも使われ、
その辺りもE.T.の出現やドラマと重なるようで。

ジンベースのカクテルで、その独特な色合いも含め
ロマンチックな雰囲気充分なスタンダードカクテル。
バイオレットリキュールとレモンジュースを用い、
スッキリした酸味を湛えた味わいとスミレの香り。

我々バーテンダーはバイオレットリキュールを
伝統的に「パルフェ」と呼びます。
フランスのロレーヌ地方で誕生したとされていて、
その色と「飲む香水」とも評される香りから当時の
貴族の間では媚薬の効果があるとされていたリキュール。
その名「パルフェタムール(Parfait amour)」は
フランス語で『完全な愛』という意味を持つが、
同時に『出来ない相談』という意味も持っていて。。

はい、ここが大事なところになります。
その為、異性と酒の席を共にした際に相手の異性が
ブルームーンをオーダーした場合は上記のブルームーンの
意味「滅多にない出来事」と合わせて「あなたとは話をし
たくない」「付き合いたくない」という意思表示を
示しているとされています。

しかし、もし貴方のお連れ様がブルームーンを注文しても
決して落胆する必要はありません。
何故なら、それ程の知識と気の回しは先ず考え難いから
ですが、BARという場所はそれほどに深い深いもので。。

この一杯の酒は「幸福な瞬間」。。。
それとも「出来ない相談」。。。

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