「なぜ日本人はお酒に弱いのか」
牛レバーを食べながら肝細胞を鑑賞中。
バーテンダーの仕事柄、お酒の話を少々、
「なぜ日本人はお酒に弱いのか」
その方が生き残りの戦略性があったのか。。
その前に驚くは、欧米人やアフリカ人、
先住以外のアメリカ人などにお酒の弱い人は
遺伝的にはゼロ、基本的に全ての人が酒豪。
ALDH2低活性のD遺伝子を全く持たない。
日本人は44%が弱く、東アジアが低い。
アルコールを分解できるのは、霊長類中期、
木の上に暮らし主に果物などを食べる祖先達。
食糧難では腐りかけ、腐った物も食べたろう、
その時にそれらはアルコールを帯びている。
アルコールの分解能力が高い個体の方がより
生き残り我々はその遺伝子を引き継いでいる。
又、お酒を主食とする少数部族デラシェがある。
パルショータと呼ばれるトウモロコシの酒は、
そのまま食べるより栄養価、アミノ酸スコアが
著しく高く、健康的な暮らしを続けている。
お酒の部分を省けば高度な発酵食品となる。
但し、お酒、エタノールを分解すると体内で
猛毒なアセドアルデヒドが大量に分泌される。
これをいち早く無害の酢酸に分解せねばならず、
肝臓で働くのがALDH2酵素で人類は生き残りの為、
この能力を最大に活性化し、代々遺伝してきた。
お酒に強い、要は効率よく分解出来る方が有利で、
多くの人種がそれを強く引き継いでいる訳です。
上記の通り、では何故、ALDH2 の不活性化が、
日本人の生き残りに有利だったのか。。
人体にとって猛毒であるアセトアルデヒドを、
高リスクの上、低活性で有する理由とは。
これはお酒の弱い人が中国南部から日本列島に
偏っている事から、数千年前、中国南部からの
稲作の始まりと関係していると考えられてます。
新しい生活様式や水田農耕地帯に特有の環境では、
新たな病原体との戦いの始まりでもあったと。
マラリア原虫、赤痢アメーバetc…
「アセトアルデヒドの血中濃度が高い」状態は、
人にとって猛毒ですが、、
「病原体にとっても猛毒」
お酒に弱くなるのと引き替えか、数千年をかけて、
ゲノム配列上に生じた遺伝的変異が、周囲の環境に
適用して生存が有利となった個体を中心に集団内で
拡散し、人々の移動や稲作の広がりによって、
お酒に弱いという体質は我々にまで至った様です。
お酒が強い人種を羨ましく思うところですが、
それ故に肝疾患、それに伴う合併症、死に至る率が、
我々に比べて圧倒的に高いのも事実です。
どちらにせよ、お酒は程々愉しむのが文字通り肝心。
アジア人のコロナ反応にも関係性があったりして。